●2日目 午前11時


一同は運動するため、隊長宅から少し離れた

住宅街のど真ん中にある広い公園へと車で向かう。

幸いにも日曜日の午前中だというのにジョギングコースの

内側にあるグラウンドスペースは誰もおらず

貸し切り状態。








隊長が用意したグローブ4つ。

(うち1つは子供用のサイズ)

ちょっぴりほつれたボールでいざプレイボール!!















2018年春 福岡オフ会

オラザルカタングラム

〜網と輪ゴムと少年と〜

第4章












『キャッチボール』

相手の投げた玉をキャッチし、投げ返す。

これを繰り返す遊び。

文章にするとすごくつまらなく感じる。








しかし実際やってみると、色々工夫が必要とされる

奥の深い遊びだと気づく。

速度は?高さは?距離は?

投げ方は?誰に投げるか?

同じ投げ方ばかりしていないか?









柳さんは野球経験者らしく、速球、遠投もなんのその。

隊長も甲子園シリーズで覚えたのか、

意外と手馴れている。









晩春の雲1つない青空にみるみるボールが吸い込まれる。

風があったせいか予想外の地点に落下するフライ

とにかく怖かったw

ファミスタの外野のエラーの気持ちが今ならわかる。

今後はミスっても怒りません。多分。


おしゃべりしながら時に激しく、時にやさしく、玉を

渡し合うおじさん達。

(変な意味ではない)








白熱したゲーム大会もいいが、こういうのほほんとした

雰囲気が私はとても好きだ。

体全体と心で『会話をする』遊び。

それがキャッチボール。





柳さん 『あ、すんません』



投げた玉の勢いが強すぎて公園内の木に直撃。

鳩が一斉に飛び立った。

隊長が急いで拾いに行くがなにやら様子がおかしい。

誰かと話しているようだ。




カワウソ 『ボールは見つかったみたいですけど、

どうかしました?』




隊長 『えぇ。あの子が一緒に遊びたいと。

どうします?』 










指差した先には野球帽に短パンのいかにも

『少年』な一人の見知らぬ男の子がいた。


断る理由もなく面白そうなので招き入れる。



知らないおじさん達によく一人で声かけたな、

とも思ったが


我々が遊んでる姿がよほど楽しそうに見えたのだろう。


まずは隊長が『小手調べ』とばかりに少年と二人で

キャッチボール。




柳さん 『おぉ〜、あの子いい肩しちょるわ♪』



少年は倶楽部だか部活だかで野球をやっているようで、

確かにコントロールもよくフォームも綺麗だった。







その間にカワウソと柳さんはスパーリング。

以前のオフ会で隊長が鼻血を出したアレである。







柳さんのミットめがけてミドルキック!



柳さん 『けっこういいですよ。あとは軸足をこう、、、』



投球も格闘技も上手い人は『フォーム』に無駄がない。

なんというか力の『流れ』がとても自然。



隊長 『副総裁、相変わらず体柔らかいっすね』



Y字バランスをしている柳さん。

(本人曰く、なんちゃってY字バランス)

柳さんに少年も興味を示したのか、こちらへ駆け寄る。









少年 『これ、なんですか?』



柳さん 『キックミットだよ。蹴ってみるかぃ?』



少年 『うん!てやっ!』












柳さん 『おぉ、いい感じ。いい感じ。体の向きをこうして、

あとは足をこう、、、』



見知らぬ少年に武術指南する柳さんw

実際上達している様を見るに逸材かもしれない。


隊長も以前言っていたが、

柳さんは子供の接し方がとても丁寧。

距離感が絶妙で子供のペースにちゃんと合わせてくれる。

とはいえ過剰に子供扱いすることはなく、

ある部分ではちゃんと一人の人間、一人の男として

接しているように見えた。



隊長の御子息にホラばかり吹いてる

カワウソとは大違いである。

※例 イタズラばかりしてるとオバケが足並み揃えて2000人やってくる、とか。




そんなこんなで1時間30分ほど経過。




隊長  『そろそろ行きましょうか』



カワウソ 『そうですね。少年よ。サラバだ!』



少年 『えぇ!?まだまだ遊びましょうよ!』



柳さん 『んじゃ、最後遠投やりましょうか』



カワウソ 『よっしゃ!!しまっていこうぜぃ!』



一同 『うぉーぃ!!』




カワウソ 『ピッチャーびびってるぅぅぅ!!』











『少年達』の声が住宅街に響きわたる。

そしてキャッチボールは終了した。





少年 『ありがとうございました!で、次はいつ会えます?

次の日曜日はどうですか?』




少年の興奮は収まらない。



隊長 『ごめんね。この人は福岡なんだけど、二人は

遠いところか来てて明日には福岡にいないんだよ。』




少年 『えぇ〜、、、そうなんですね』



カワウソ 『君が強くなれば、トーナメントの決勝で会えるさ♪』



隊長 『カワウソさん、またいい加減なこと言わんでくださいw』


少年 『よくわかんないけど、この人とこの人はまた会えるっ

てことですね。

で、
皆さん結婚してるんですか?



少年は話続ける。

別れるのがイヤなのだろう。




隊長 『みんな結婚してるよ。ちゃんと仕事もしてる』



少年 『へぇ〜この人だけ(柳さん)は結婚してないかと思ってた♪』



柳さん 『なんでや!?』












笑い声に包まれながら駐車場へ向かう。

少年は小さく見えるまでずっと手を振っていた。






隊長 『感じのいい少年でしたね』



フジオカさん 『えぇ、礼儀も正しいし』



カワウソ 『最近の子のコミュニケーション能力はスゴいですね。

ガンガンきて次のアポ取りまでするんですから。

ほんとしっかりしてますよ』




柳さん 『、、、なんで俺だけ独身やと思われたんだろ?』





車内は『少年』の話で持ちきり。

柳さんが独身だと思われたのは拳の道に生きるストイックな格闘家に

見えたからだと個人的には思うが、真相は謎。








次なる目的地は創業70年の老舗、

『わらび餅屋さん』

福岡オフ会の度に柳さんに食べさせようとするも、

すっかり忘れてたり店休日だったりで

叶わなかった因縁の場所である。


ほどなくして店に到着するも車を停める場所がない。




カワウソ 『すいません。隊長買ってきて貰えますか?

ダッシュでw

あと飲み物もお願いします』




隊長 『はぃはぃ、わかりましたよ♪』




正直なところ『わらび餅』はそこまで美味しい!

と驚くようなものではなく、

地元に親しまれる素朴なお菓子といった感じ。

けっこう甘味が強いので好き嫌いが別れるかもしれない。








きな粉をまぶしたわらび餅が、手のひらサイズのモナカの皮に

サンドされおり、剥がれないよう

『ダイレクトに』輪ゴムで止めてある。


当然、モナカも輪ゴムもきつね色なのでぱっと見では分かりづらく、

気がつかないともろとも食べてしまいそうになる。

カンピョウとかグミとかでどうにか出来なかったのか?

とも思ったが

『税込み100円』という価格を維持する為には

やむを得なかったのだろう。(と、勝手に想像した。)








隊長 『買ってきましたよ。お茶はなかったんで

ラムネにしました』










なぜ、甘いスイーツに甘い飲み物を!?

と怒りがこみ上げて(人をパシらせておいておきながら)

きたが、いざ食べてみると

これが美味い。



わらび餅がラムネを、ラムネがわらび餅を引き立てる。

これはもはやスイーツ界のマルスとシーダ。

(分からない人はファイアーエムブレムをやってみてね。)


隊長!すまん!貴方が正しかった!!



カワウソ 『思ったより甘くなくて丁度いい。わらび餅って

こんなに美味しかったっけ?』



わらび餅とラムネの奇跡の科学反応。





柳さん 『あ、うんまいわ。コレ



隊長 『ラムネの瓶は返却しなくていいそうですよ』



柳さん 『
叩き割って中のビー玉取り出しますか?





、、、車内では勘弁して下さいw












オフ会プランもあと少し。

瓶の中で転がるビー玉の音を背中で聞きながら、

次なる目的地へと向かう。






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