※このプレイ日記は2016年6月21日に後援者の古風さんが製作したものです。









【本プレイ日記を読まれる前に】



・ベトナムの通貨は「ベトナムドン」(以後VNDで統一)



・2017/5/5における日本円・VNDレートは1円=202.59VND



・本プレイ日記では計算の単純化のため、古風と周囲の在越日本人が基準として

用いている「2万VND=約100円」に従って進行します



・本プレイ日記にはゲーム画面のみならず実在の場所、店舗、地名の写真や名前が登場し、

かつ現地の人々の様子が移り込んでいるものもあります。

ご了承くださいませ。







【2000年代ベトナムの大まかな経済状況】



・2010年、ベトナム社会主義共和国は世界銀行並びにアジア開発銀行により

「中所得国」認定を受け、念願の「後発途上国」脱出を果たす。



・2002〜2012年の10年間で、国民の平均月収が35.6万VNDから200万VNDへ大幅に向上。



・2015年の調査によれば、首都ハノイにおける平均月収は製造業の一般工員で

367万VND、同じく製造業の中堅技術者が840.8万VND、

非製造業一般職で937.2万VND。つまり日本円にして4万円前後。

国営企業の社員はそれ以下と聞きますが詳細は不明。



・しかしながら、地域、学歴、出身民族(実は54もの民族で構成される多民族国家)、

共産党員か否かといった条件で結構な格差社会とも。











第1801弾





PES2017
Pro Evolution Soccer 2017









まず初めに、

ベトナムにおいて「家庭用ゲーム機」はかなり高価な商品です。


多くの人々にとり「ゲーム」とは例えばカードやビリアードといったゲームのことですし、

テレビゲーム乃至はコンピューターゲームを自宅で遊ぶというのは

ベトナム全体から見れば少数に属する中間層以上に許された「贅沢」

他なりません。


近年はスマートフォンの普及によりそれを用いてゲームをする人が増えている様子ですが、

これは今回の主題ではありません。








さて、ベトナムで多少贅沢なショッピングセンターなどに行くと、

《SONY CENTER》というSONYの直営店が目に入ります。

以下の写真はバーチウ通りにある《ヴィンコムセンター》内の店舗です。



「家庭用ゲーム機」が手に入る場所はこうした直営店か、

新品・中古の双方を扱う市街の一般店舗、

コピーゲーム機を売っていたりする路地裏のややアングラな店か、

そしてインターネットで中古品を入手するか程度の選択肢になってきます。



2017年2月に上掲写真の《SONY CENTER》でスタッフに伺ったところ、

PS4本体が4万円を僅かに下回る価格で販売されています。


私が2016年9月に渡越する直前にヨドバシオンラインで購入した

PS4スリムが37770円だったことを考えますと、

輸送費や関税が上乗せされているのか、もしくは保証付きなのか詳細は分かりませんが

割高のようです。



一方、首都ハノイの企業で翻訳・通訳者として働くゲーム仲間の

友人に質問したところ、

「市街の一般店舗で3万ちょっとくらいで売っていた」そうです。

ちなみにVR対応のPS4PROが6万円程度だとか。



いずれにせよ、

これは冒頭に述べましたハノイの平均月収1月分に匹敵する値段ですし、

当然ながら多くのハノイ市民の購買力を上回っています。

旧正月(テト)のボーナスが支給されたとしても、

家族の為に冷蔵庫や洗濯機といった家電製品の購入に充てる場合が多いようです。




また重要なポイントとして、

ゲームをプレイしたがるのはベトナムではまだまだ若い世代の話で、

そこそこ金銭的余裕がある若年層社会人ならば給料を貯めて

買うなどもありますが、学生層が独力購入するのは困難です。

(恵まれた家庭なら親が買ってくれるのかもですが)


つまりPS3・4に対し最も大きな需要を持つ年齢層は購買力が欠ける

と思われます。



では、どのように普及したかという話になりますが、上記の状況は

ベトナムにある業態を発生させます。

店名は色々とありますが、とりあえず日本語に直訳すれば「ゲーム屋」

呼称されるものです。







このゲーム屋の形態は大きく2種「テレビゲーム」と「パソコンゲーム

(ネットゲーム)」の専門に分けられますが、

どちらも料金は時間制で

「ゲームをするための環境と設備を時間単位で貸し出し、

軽食や飲物も別料金で提供する」
業態です。



日本のインターネットカフェや漫画喫茶という業態にかなり似通っていますが、

日本のモデルが

「パソコンの一般家庭普及以前や常時インターネット接続環境が貴重だった当時に

その環境提供サービスとして発生し、

現在では付加価値としてゲームや宿泊といったサービスが加わった」


のに対し、少なくともハノイでは

「ゲーム屋はあくまでゲーム環境の提供サービス」だという差異が存在します。

(所謂ネカフェはまた別個に存在するのかもしれませんが)







前置きが長くなりました。

何事も百聞は一見に如かずということで、友人と「テレビゲーム専門店」の方へ

遊びに行ってみました。







はるばるやって来ましたのはレータインギー通り。

ハノイ経済大学並びにハノイ工科大学にほど近いので、

多くの学生向け娯楽施設があります。

大通りからやや細めの路地に入ると、早速見つかりました。

ずらっと並ぶ看板。

『PS3 PS4』と書かれたものが非常に目立ちます。





ハノイを回ると、時折こうした場所を見つけますが、

テレビゲーム屋の殆どがプレイステーションを採用しているようです。

「プレイステーション3・4は恐らくベトナムで最も普及しているゲーム機と言って

差し支えない」
と勝手に考えている根拠でもあります。



友人と相談して適当な店へ。

内装は以下の通り。







コカや7UPといったソフトドリンクの入った冷蔵庫に軽食調理用のコンロと

フライパンが置いてある入口から入店すると、


中はソファと大型ディスプレイ、そして固定されたPS3やPS4という

シンプルというか簡素な店です。



入店した時点で既に数名の先客がおりました。

どうやら全員、プレイしているのはサッカーゲームの模様。

というか、この店はサッカーゲーム以外にソフトは無いようです。



ベトナム最大のメジャースポーツはサッカーなので不自然ではないですね。

ここ以外の店も覗くとゲーム画面の大多数がサッカーなので、

この業種はサッカーゲームを主力としていることが察せられます。

他に格闘ゲームや4人用のパーティーゲームを用意している店もある模様。








それにしても、去年9月発売の新鋭PS4スリムまで導入しているあたり、

中々景気が良いみたいですね。





興味深いのは料金の支払いシステムですね。

時間制なので当然後払いなのですが、ゲーム機本体でも人数でもなく

「コントローラー1個につき1時間で1万VND(約50円)」という

「コントローラー個数制」とでも称すべき制度になっています。


3人で入店したのでコントローラーを3個使用、つまり1時間当たり3万VND(約150円)

からスタート。







割当てられたPS4スリムで我々がプレイしていくソフトは

『PES2017−Pro Evolution Soccer 2017−』

『ウィニングイレブン2017』の欧州仕様版です。


コーラを注文し、のんびりと経験者二人の試合を観戦しつつ私はゲームの操作や

流れを教えてもらいます。








ディスプレイの下には飲食物を置く机があり、灰皿も常備。

店のおっちゃんに注文すれば煙草も出ます。

禁煙も分煙もベトナムには普及していません(笑)









サッカーが盛んな静岡県に生まれ育ったが故か、サッカー好きの友人は

多い古風ですが当の本人はずぶの素人。


途中から私も参戦しますが、実際にやってみるとパスの方向も強さも分からず、

強引なスライディングでファールを量産。

最初の試合で2人は私のラフプレーで退場させてしまったのではないかと。







↑理不尽なスライディング




もう一人友人が合流してきたところで2対2のタッグ戦を開始。

最初のうち



(古風) 「えーと、これどっちに向かって攻めるのでしたっけ?」



(相方) 「右です右!」


とか



 「そんな距離からシュートは無茶ですよ!」



 「あ、いやなんかテキトウにボタン連打しちゃってつい」



とかやっておりましたが、

相方殿のアドバイスと的確な指導により少しずつ慣れてくる古風。









入店から3時間経過、

韓国代表チームを操作して日本代表チームと対戦中のこと。

後半戦で相方からのパスを活かし、ようやく自力で一点を入れることに成功。

1−1に持ち込むファインプレー。










更に後の試合、ドイツ対イタリア戦でもドイツ代表を操り得点。

終盤の数試合で、かなり実力が上がった実感を得ました☆









さて、お会計のお時間です。


14時頃に入店し、18時半まで遊んでいたので4時間半も画面の中でボールを

蹴り続けていたことになります。




店のおっちゃんに勘定をお願いすると

「21万VNDだよ」とのこと。約1050円。

やっぱり安い……。




領収書なんてもらえないので、

予め提示された「コントローラー1個につき1時間で1万VND」以外は

私の予測で明細表を作成しました。



〈コカ・コーラ〉1万VND×4本=4万VND

〈タバコ〉2万VND×1箱=2万VND

〈コントローラ〉4.5(時間)×3=13.5VND

〈コントローラ〉1.5(時間)×1=1.5VND ※一人途中参加のため

・合計=21万VND(約1000円)




4時間半ひたすら遊んでこの値段です。

大満足ですね。




かつて友人宅で遊んで以来、

『ウィニングイレブン』をプレイするのは恐らく5〜6年ぶり。


タッグ戦に至っては初体験のことです。

初心者丸出し、決して上等なプレイではなかったのでしょうが、

友達とタッグを組んでパスを回し、ゴールを決める。

この面白さにようやく気づくことができた気がしますね☆





次パートでは、少しこの業種「テレビゲーム屋」についての考察をしてみたいと


考えています。





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