※このプレイ日記は2016年1月19日に後援者のボルカノさんが製作したものです。




第1594弾





SDガンダム
Gジェネレーション-F.I.F



PartA










東シナ海 上空

ボルカノ軍 MS輸送機 ルクバード コクピット……。






 ルクバードより、ミデアへ。負嗣の発進準備は?











[負嗣] おーい、ボルさん。俺だー。

出るのは良いんだけどよぉ……この天井の低いのとか、狭いのとか、

いい加減、なんとかなんねぇのかよ。



 贅沢を言うな。コンテナなんだから。

おま、それとも何か?ルクバードの方が良いって?



 冗談じゃねぇ!ぶら下げっ放しじゃねーか(汗)



 だって、入んなかったんだもん。横幅的に。狭くて。



 だからよぉ、もっといいやつ買おうぜ。

その、カタパルト付いてるようなやつとかよ。



 そんな大金はございません。いいからはよせえ!














 ヘルダイバーさんとこじゃ、ラー・カイラム持ってんだぜ?

そこを見習ってよぉ、も少し立派なやつをさ……。



 はよせえ!



 ああ、もう!なんでこんなにも貧乏くせえんだよ、ウチは……。

分かった、出るよ、出る出る!

おおい、機長!早いとこ、ハッチ開けさせて!



 いいか?許攸に近づくまでにまだ時間がかかる。

その間に奴らはズゴックを出してくるだろうが、うまいとこ潜り込め。

許攸は見た目には頑丈そうだが、あれの甲板は薄っぺらい。

ビームがまともに当たれば、一発で炎上出来るはずだ!



 やってみるよ!失敗しても恨むなよな。



 恨むわ、アホ!……ルクバードより、ミデアへ。

これより、ルクバードは2分後にフライングアーマーを射出する。

ミデアは、ただちにリック・ディアスを発進させ、

フライングアーマーへのドッキングを試みられたし。











 フライングアーマー、射出!











 空中でくっ付けるのが、どんだけ気を使うか、分かってんのかね……。

ったく、ウチの大将はよ。










 っしゃ、ドッキング成功ッ!












 ボルさん、俺だ。ドッキング成功。

さっさと、許攸のケツを蹴っ飛ばしに行ってくるからよ!



 おお、頑張れよ!




















元ボルカノ軍 舞夏梨艦隊 許攸、後部甲板……。










 二見小隊、スクランブル願います!



 こちら、二見。聞こえてるよ。

もう、ズゴックには乗り込んだ。弾も燃料も問題ない。









【二見 和也(ふたみ かずや)】


元ボルカノ軍兵士。かつて、舞夏梨がボルカノから信頼を得ていた頃に、

彼女の元へと異動する命令を受けて、舞夏梨の部隊の兵士となった。

以来、彼女に付き従って働くが、舞夏梨が更迭された際には、

ボルカノから舞夏梨の元を離れて、元隊に復帰するように勧められた。

しかし、二見はこの誘いを受けず、舞夏梨がボルカノ軍を抜けた後も、

彼女に従って行動を共にし、あえて脱走兵となることを望んだ。








 早いですね。猪俣さんと、武井さんの準備が終わり次第、

発進してください。発進後は、敵の迎撃をお願いします。



 ズゴックは3機すべて出すのか?



 2機まで出します。武井さんには残ってもらいます。



 それが妥当だな。俺たちはまだ逃げ切れちゃいない。



 フィリピンに行っても、MSが要り用になりますからね。

出来れば、一機も失いたくないところだけど。



 ムシが良すぎる話だろう。……猪俣、まだか?



[猪俣] 今、終わりました。出れます。












 よし、行くとするか。

海中への潜航のため、エンジンに火を入れ、ジャンプを行う。

周囲の者は吹っ飛ばされないように、すぐに退避しろ。



[許攸 整備士] パワーは加減してください。強すぎると、甲板を潰します。



 猪俣、言われているぞ。



 二見さんのことです!



 まさか、俺ほど丁寧なやつはいない。一番機、出るぞ!













 二番機、続きます!

















ボルカノ軍のリック・ディアス、舞夏梨艦隊の二機のズゴック。

二つの機体は、両軍の代表者と言わんばかりに互いに距離を詰め合い、

ルクバードと許攸の間に、小さな戦場を形成しようとしていた。

先に戦いの狼煙を挙げたのは、二見率いる二機のズゴックである。

接近するリック・ディアスを撃ち落とすべく、

海中よりミサイルが放たれ、高々と打ち上がった。













 ミサイルの発射を確認。デコイ(囮)をぶっ放せ!



 死にたかねぇしな!














 ああ!ミサイルがそれていく……。



 想定の上だ。もう一度、やるぞ。

10秒後に一斉発射。タイミングを合わせろ。



 分かりました。8、7、6……。













 ダメだ!また、外れた!



 もう、デコイはない。負嗣、次はバルカンで迎撃しろ。



 マジかよ……。



 ズゴックがおとなしくしていれば、抜けられるはずだが。





 これじゃ、ラチが明かない!もっと、近づかないと!



 ……!?よせっ!



 ミサイルはあと6発しかないんです!また、外したらここを抜かれる!



 ビームがある。早まるな……!










 今、撃ちます!あいつめ、当ててやるっ!












 飛び出してきやがった!?……野郎!



















 猪俣ぁー!!











 一機撃墜!



 貴様ッ!!













 うがっ!











ミサイルが直撃し、爆炎と衝撃がフライングアーマーを突き抜ける。

リック・ディアスはたまらず、空中に放り出される格好となり、

フライングアーマーは火を吹いて墜落し、そのまま海上で四散した。






 いかん!ルクバード、出力を全開に!ディアスを回収だ!



[ルクバード 操縦士] あ、危ないですよ!まだ、ズゴックが残ってます!



 ミデアも連れていけば脅しにはなる!いいから、突っ込め!



 りょ、了解!



 さっきの爆発はフライングアーマー?と、なれば……

あのディアスには許攸を追い掛ける力はもう、ない?













 ちくしょう、ちくしょう!これじゃ、あの艦に追い付けねぇ……!

逃げられちまう……!



 だが、俺も下がるしかない、か。猪俣……。



 高度、下げて!早く、早く!



 こんなんじゃ、顔向け出来ねえ……。

せ、せめて、もう一機のズゴックだけでも!













ライフルから放たれた一閃は、何を貫くとなく海上で光となって炸裂し、

巨大な水柱を上げ、あたかも嵐を呼んだがごとく水面を揺する。











 おっ、おおぉ!?




その唸りは舞夏梨の元に戻るべく、許攸に向けて、身を翻していた

二見のズゴックを呑み込み、荒れ狂う。まるで、風に巻かれる木の葉の様だ。

この上、狂った水流に巻かれて流されてきた、何か得体の知れないもの、

残骸らしきものが当たって、エンジンの調子を狂わせていた。

運命は時として、つまらぬことをきっかけにして、ひどく狂うものである。

リック・ディアスが苦し紛れに放った、でたらめな一撃からなる、突然の不調。

これが、二見にとってまさしく不幸中の不幸となるのだ。











 パワーが下がる……?バカな、水に揺られただけで?

いや、それよりもこれは……まさか、俺も許攸に追い付けない……!?






この瞬間、小さな戦いが終局へと向かいつつあった。

足の鈍ったズゴックでは、ボルカノの部隊から逃れることが不可能なことは

既に二見の心の内でも結論が出ていた。

フライングアーマーを失ったとは言え、リック・ディアスは健在だからだ。

ルクバードか、ミデアを使えば、空からの狙撃も出来る。

二見のズゴックに、それを避ける力はない。

しかし、ボルカノの部隊もまた、それ以上のことを行う力は残っていない。

このままリック・ディアスを輸送機に付けて追撃を続行したとて、

戦闘能力がなく、図体もでかい輸送機は即座に撃ち落とされる。

二見の許攸帰還も、ボルカノの許攸追撃も、どちらも果たされることはない。

それを最初に受け入れた者がいた。二見 和也。

彼はズゴックのコクピットハッチを開くと、眩しそうに空を仰いだ。

そこに彼と同じ敗者がいて、彼をただ見下ろしていた。

互いの胸にあるのは、疲れと屈辱だけであった。











 ふうぅ、助かったぜ!



 あぁ、あぁ、見事に逃がしやがって。このおにぎり頭が。



 すまねえ……。



 いい。今回の作戦が無茶なのは承知だったさ。やっぱ、頭数だよな。

ま、ズゴックだけでも持って帰ろうか。

ルクバードよりミデアへ。そっちでズゴックを収容してくれ。

パイロットは俺の方で預かる。……知り合いだからな。



 良かったじゃないですか。

これで二見さん、戻ってきますよ。



 いや……。



 どうしたんです?


 そのことだが、俺は……言ってもいいか?



 ボルカノさんのとこには戻らない、とか?

二見さんは結構、頑固ですからね。



 違う。



 アホ面(ナギタン)に怒られることですか?



 そうじゃなく……。



 なんなんです?



 ……二見は、殺す。



 えっ?えっ?今、なんて?



 二見和也は殺す。処刑……しなくちゃいかん、奴なんだ。






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