※このプレイ日記は2017年7月3日に後援者のカワウソさんが製作したものです。
今日がダメなら明日にしまちょ
明日がダメなら明後日にしまちょ
明後日がダメなら明明後日にしまちょ
どこまでいっても明日はある ホイ
ドン・ガバチョ
(明日を信ずる歌)
海岸沿いに男が二人。
『この町も大きくなったものですな♪
いやはや立派、立派♪
ブハハ♪ブハハ♪』
シルクハットを被った小太りの中年男は自慢気に髭を撫でながら笑った。
『ガバチョさんがサボテンの苗を大量買いしたせいで資金が尽きかけた時は
どうなるかと思いましたよ』
もう一人の男は額から外した年期の入ったゴーグルを磨きながら
溜め息混じりに言った。
『サトポン君!終わりよければ全てよし、ですぞ!ブハハ♪ブハハハ♪』
『まぁ、そうですがね。ハハハ』
もう一人の男は
これ以上言っても無駄なので一緒に笑うことにした。
しかし、このガバチョという男、
ながい付き合いになるが未だによくわからない。
端から見ればムチャだ、ムリだ、無謀だ、と言われることを考えては実行し、
いつもなんやかんやでうまくいくのだ。
『雨乞いで雨が降るのは、降るまで祈るのを止めないからなんですぞ!』
サトポンは、ふとある日
ガバチョが言ったこと思い出していた。
あぁ〜そういうことか。
この人は諦めるということを知らないだけなのだろう。
やっぱりバカなのか?
しかし、ひたすら前向きで希望に満ちたこのおバカさんがいなければ、
ここは荒れた広野のままだったことは間違いない。
『ぼーっとして何か考え事かな?
それより今日は大事なお客様に町を案内する日だ。
ほれ、さっそく来たようだな。ヨロシク案内頼むよ♪』
『はぃはぃ、わかりましたよ。ドン・ガバチョ町長殿』
第1809弾
ドラゴンクエスト ビルダーズ
Part2
〜ネオ中洲川端タウン〜
●『金鯱(きんしゃち)市場』
マグロ、イワシ、鮭、カニ、イカ、鯛
など海流を無視した新鮮な海の幸が並んでおり
珍しい『銀遊魚』を目当てにくる観光客も多い。
基本的に無愛想な店主だが、
好みの美人ねーちゃんならばサービスで
その場で調理してくれることもある。
市場内にはオープンカフェスペースがあるものの、
基本的に昼間から地元の酔っぱらいに占拠されているせいで
観光客が利用するのは至難の業。
内外から
『潮風に酸っぱい臭いが混じっている』と苦情が多くよせられており
早急の対策が求められている。
●灯台『宇宙殿』(うちゅうでん)
『武装商船海王丸』を導く灯台であり
ネオ中洲川端タウンを一望できる展望台でもある。
梯子での登り降りはかなりしんどいが『ビルダーズ祭り』の季節には
多くの人々で賑わう人気スポット。
●武装商船『海王丸』(かいおうまる)
この町の特産品『サボテン石鹸』や『第18のビール』などを
主に輸送している商船。
前方と左右に大砲が装備されており
マーマンの大群が押し寄せても返り討ちできるほどの
火力がある。
後方に大砲が装備されていないのは
『後ろをとったら撃ちまくれ、後ろをとられたら身を委ねろ!』
との船長の言葉によるところらしいが
最近になってただの下ネタだったことが判明。
真相は謎である。
●『白雲般若橋』(はくうんはんにゃばし)
『金鯱市場』と中心街を結ぶ木造の橋。
モダンなデザインはなかなか好評だが、
この町の人々は
『橋を渡るのは女子供のすること、男は橋を渡らず泳ぐもの』
という謎のプライドがあるため利用頻度は少ない。
●『中麦畑』
小麦と大麦の特徴を備えた幻の麦の畑。
パンによし、ビールによしの万能作物。
収穫時期にトロッコから見る中麦畑は風情があり、
『踏まれても揉まれて喜ぶ麦になれ』と吟った歌人、
十返舎本気出一九(じゅっぺんしゃまじでいっく)の句は
多くの中年男性に勇気と偏った性癖を与えた。
●アトリエ『世界の図』
学者、大工、アーティストやデザイナー、発明家などが利用する
合同の作業場。
やかましいことこの上ないが、
様々な方面の専門家との交流がきっかけで生まれた発明品も多く、
最近のヒット商品は『全自動ぱふぱふマシーン』。
●旅館『花籠』(はなかご)
全てのベッドに『エッチなライト』が設置されている妙に艶かしいお宿。
『朝起きたら綺麗なお姉さんがセクシーな水着で双六をしていた』
『朝起きたら、赤いふんどしのマッチョな男が俺のためにご飯を作っていた』
という怪現象が度々目撃されている。
どうやらメタルスライムを素材にしたエッチなライトの効果らしいが、
面白いのでそのままにしている。
隣の大浴場はネオ中洲川端タウンが誇る名所。
●大浴場『かぐや姫』
博多湾を一望できる大浴場(混浴)。
入浴剤に使われた薬草やらなんやらの効果で大抵の傷や病気は
風呂に入って寝ればたちまち治る。
『色々な病に効果はありますが、恋の病だけは治せません(笑)』
とウィットなジョークを交えて書かれた案内板が
利用者に小さなストレスをあたえているため撤去を望む声が多い。
花籠に泊まらずとも料金を払えば入浴可能で
星空を鑑賞するためにあえて屋根がない造りになっている。
マドハンドがしょっちゅう排水口に詰まるのが悩みのたね。
●黒斜子(くろななこ)町民プール
旅館『花籠』の裏にある無料で利用できるプール。
それとなくスライムのデザインが施されている。
キャッチフレーズは
『泳いでみんしゃい、ぬるいけん。
潜ってみんしゃい、深いけん』
●ベーカリー『江守』(えもり)
中洲川端産の中麦を100%使用している町のパン屋さん。
アルミラージ肉を使った『うさ豆バーガー』が一番人気。
地元の食材使用率100%に強いこだわりを持っているせいで、
早い時間での品切れも多く、
苦肉の策で地元の食材で作れるサラダやアイスクリーム、
ケーキやクッキーを陳列するようになり結果、
パン屋なのかよくわからない状態になりつつある。
●寺子屋『筑紫野』(ちくしの)
『あるものは活かせばいい、無いものは作ればいい』
がモットーの寺子屋。
基礎学問の他、ビルダー生誕の地ということで『もの作り』に特に
力を入れている。
日曜の朝はミサが開かれており、
配布されるスライムクッキー(ベーカリー江守協賛)目当てに
信仰心の薄い町の人々が集まる。
●ファミレス『小人の帽子』
リーズナブルで量があって、まぁまぁ旨いと評判のレストラン。
シェフの方針『セルフサービスはサービスにあらず』は
多くの御客の心を掴んだ。
麺類ならばなんでも『替え玉』ができるのは中洲ならでは。
金鯱市場で仕入れた銀遊魚の料理もここで食べることができる。
●『新世界通り』
木造に整備された道路や路面トロッコ用の線路は大正ロマンを
彷彿とさせる造りになっている。
アトリエ『世界の図』の最高傑作との呼び声が高い。
『小型ガス灯風照明』は今宵も中洲川端を照らしている。
一部の線路は水中を通っており、
通る度に服が濡れてしまうがジブリ好きが多いこの町の炭鉱夫達には
『千と千尋の神隠しっぽくてクール』
と評判。
●獅子頭(ししがしら)公園
子供嫌いの職人が作った自然公園。
テーマは『自然に遊ばれろ』。
いわゆる遊具はなく、ボルダリングや木材の足場、蔦のロープなど
ハードなアスレチック施設となっており完成形をみた町人たちからは
『SASUKE ファーストステージか?』
との戸惑いの声が多く寄せられたが
刺激を求めるチビッ子達には大盛況。
日々熾烈なタイムアタックバトルが繰り広げられている。
ちなみにボルダリングコーナーをはじめビルダーズ祭りの廃材を利用することにより
非常にローコストで建設することに成功した。
●連山(れんざん)サボテン養殖所
現町長、ドンガバチョは開拓時代に『酒だ!酒こそが金を生む!』との考えで
テキーラを量産すべくサボテンの苗を大量に購入したが
テキーラはサボテンではなく『竜舌蘭』という全く別の植物が
原料だと後に判明し、早くもピンチに陥る。
※参考資料 竜舌蘭の収穫風景
途方に暮れていたところ奇跡的にこのサボテンオイルから
上質の石鹸が作れることが分かり、石鹸造りにシフトチェンジ。
今では町の重要な資金源となっている。
●『ビルダーズ祭り』
かつて世界を救ったとされる伝説のビルダーを讃えるお祭り。
1年に一度、開催。
優秀作品は3作品が数ヶ月間展示され、
町人達の投票により最優秀賞が決まる。
今年度は
『どせいさん』
『サザエさんのエンディングの小屋』
『コンボイの謎』
がノミネートされており、町長の
『夕暮れ時、水面に写る逆さトランスフォーマーを手を繋いで見た
カップルは結ばれる』
というデマを信じた恋人達が会場に殺到した影響もあり
例年以上の盛り上がりを見せている。
●居酒屋『月下美人』
サボテン養殖所の隣にあるお洒落な酒場。
養分たっぷりのゴーレム石を外壁に使ったせいで風に乗ってきた
サボテンの種子が自生するようになった。
マスターのセロリーナさんは『オシャレでいい感じ』と、
気に入っているため今のところ裁判沙汰にはなっていない。
オススメは地元の中麦を使った『第18のビール』。
町長の個人的なお願いでサボテンの果実の糖分から無理矢理作った
酒もあるが、こちらは不味く不人気。
『と、こんな感じですね。ちなみに施設の名前は全てサボテンの名前
らしいですよ。
なんでも町長が花言葉の"枯れない愛"というのがえらく気に入った
からだとか、、、。まぁ職権乱用ですね。
それではお客様、こんな町ですが、ゆっくりしていってくださいね。』
夕日が沈む海岸沿いに男が二人。
『サトポン君、今日のお客さんはこの町を気に入ってくれただろうか?』
『どうでしょうか。楽しんでいたようですが若干、戸惑っていたようにも見えましたね。
ところで、町の人に必要な施設のアンケートをとったんですが
病院、野球場を押さえて雀荘が一位でしたよ』
『ブハハ♪ブハハハ♪この町の人達らしい想像の斜め上をいく回答ですな。
なんにせよ、みんながより笑顔になる町にするため
明日があるかぎり我々は作り続ける。
とりあえず今日のところは大きなお風呂に入ってゆっくりしましょう。』
『お供しますよ、ガバチョさん』
どこの家からだろう?
おそらくカレーであろう晩御飯の
いいにおいがしてきた。
夕闇に1つまた1つ、街灯の明かりが町を照らしはじめる。
帰路を歩く2つの影が今日もゆっくり伸びていく。
おしまい