※このプレイ日記は2016年11月20日に後援者のカワウソさんが製作したものです。









 『もし 私の仲間になれば 世界の半分を おまえにやろう』















『ドラゴンクエストT』のラスボス『りゅうおう』は勇者に問いかける。


もちろん答えは

『いいえ』


そりゃそうだ。

りゅうおうを倒す冒険でやつの仲間になってどうする。







豊臣秀吉に気に入られた前田慶次ですら100万石のオファーなのだから

破格のVIP待遇ではある。








とはいえ明らかにワナだ。

ちなみに1石=約150sの米が収穫できる面積らしい。

あ〜、100万石もかなり広いなぁ〜。




話が逸れた。










 
この問いに『はい』と答えるとファミコン版では画面が暗転し(世界が闇に包まれた)

ゲームオーバー。

ついでにレベル1&装備なし状態の『復活の呪文』でやり直しさせようとする。










※ナウなヤングたちへ

昔はセーブなんて便利なもんはなくて、続きから始めたい時は

『復活の呪文』という名の
パスワードをいちいち打ち込んでいたんだ。

世の中便利になったね♪












『ドラゴンクエストT』の発売から20年後の2016年。










これは、りゅうおうの邪悪な誘いに勇者が『はい』と答えた後の

世界の物語。


※注意※

今回のプレイ日記は本作のネタバレを多く含みます。



















第1696弾





ドラゴンクエスト ビルダーズ
アレフガルドを復活せよ















●ドラゴンクエスト ビルダーズ

  〜アレフガルドを復活せよ〜

  2016年 スクエアエニックス
 
●ジャンル ブロックメイキングRPG











『りゅうおう』により闇に包まれた世界『アレフガルド』。

人々はものを作る力を奪われ滅びを待つだけの存在と成り果てていた。








お馴染みのファンファーレにドラゴンクエストの文字。

これは熱い。

30、40代ならば興奮間違いなし。


さぁ、勇者よ、冒険だ!!武器を持て!




、、、あれ。勇者どこ?。










この物語の主人公は『勇者』ではなく失われたはずの

『ものを作る』能力をもつ『ビルダー』と呼ばれるゴーグルがおしゃれな

謎の少年のようだ。


勇者ではないので当然、魔法は使えず

直接的な戦闘能力も低い。

モンスターを何匹倒してもレベルアップすることもない。












そもそも『もの作り』がメインなので

アクション要素の強い戦闘はボス戦を除いて、モンスターが落とす素材を

得るための手段
といえる。






  

そーいえば『ナルト』も『銀時』も『ジョセフジョースター』も

みんな昔はゴーグルしてたな。

どうしてジャンプの主人公ってゴーグル好きが多いのだろう?





またまた話が逸れた。


後に判明するのだが、

この『勇者ではない』というのがこの物語のキーとなる。


 
ゲームの流れは 


 @ なんやかんやで村が壊滅状態



 A 色々なところに行ったりモンスターを倒したりして

復興に必要な素材を集める



 B 村人の要求に答えつつせっせと村を復興させる



 C ある程度復興すると、この地域の災いの原因である

『魔物のボス』と戦闘になるので倒す。











 

モンスターはドラクエ1をメインに、シリーズでお馴染みのキャラクターが

登場したり、フィールドの音楽がドラクエ1〜3の音楽だったりと

過去シリーズをプレイした人だとニヤリとする要素が豊富なのも特徴。


なにより主人公が『しゃべらない』のがドラクエらしい。

主人公はプレイヤーの分身なのだ。












ボス戦で流れる音楽はサビまでがやたら長いドラクエ4の戦闘曲。

テンションが上がらないわけがない。

いいセンスだ。








中には人間に協力的な魔物もいる。

主にドラクエW以降に登場する『おおきづち』や『リリパット』で

その理由は 

『最近、りゅうおう軍に入ったばかりでそんなに人間に恨みがないから』

『先輩がいぢめるから』


・・・・魔物の世界も色々大変なようだ。










モンスター『おおきづち』に武器の『おおきづち』を話をすると

なぜかエッチな話と勘違いされる。









長剣用語でいうところの『16インチ砲』といったところか。











『村や町を作る』と聞くと色々と面倒だと感じるが意外と簡単。

ブロックを2個以上積み上げた壁と『扉』と『明かり』が各1個あれば

『部屋』と認識される。

屋根などいらん。あんなもんは飾りじゃ。










実際にプレイするまでは

サンドボックス(砂場)ゲームの代表作、『マインクラフト』に『ドラクエの世界観』を

足したもので、ほのぼのと町作りができるんだな〜、

などと思っていたのだが、、、










全然、違った(汗)







具体的にいうとストーリーがとても生々しい。








例えば『第1章』。

ゴーレムによって滅んだ町の復興が目的なのだが、話が進むにつれ

『なぜゴーレムが人間を襲ったのか?』が明らかになる。


もともとゴーレムは人間によって作られた守り神だった。

世界が闇に包まれた後も町を守っていたのだが人々は僅かな食糧をめぐって

醜い争いを始めた。

そして『守り神』であるゴーレムは『人間こそが町を滅ぼす存在』と認識し

襲いはじめたのだった。

『町を守る』という使命を忠実にこなすために、、、。 












病に倒れた村人を救うため不死の力に取りつかれた研究者。

その結果、人体実験で『腐った死体』にされた村人。









平和のために力を欲したが人間の力に限界を感じ魔物に魂を売ったため、

恋人に殺された発明家。





どの章にも必ず『光』と『闇』の部分があり、主人公は『もの作り』を通して

人々の希望となり、『光を取り戻す』存在となる。



これこそが勧善懲悪のドラクエ1〜3シリーズと決定的に違う部分で

『ドラクエビルダーズ』が単なる過去の作品を懐かしむためのお祭りゲーム

ではないことを示しているのではなかろうか。


今までに築き上げたものを壊し、新たに創造するのはゲーム性だけでなく、

ドラクエというタイトルそのものなのかもしれない。







この作品には3つの大きな謎がある。



@ 世界の半分を手にした『勇者』は何処にいったのか?



A 失われたはずの『ものを作る力』を唯一持っている主人公は何者なのか? 



B りゅうおうはなぜ、人々からものを作る力を奪ったのか?






がっつり、ネタバレになるが
 
『世界の半分を手に入れた勇者』は最終章で『やみのせんし』として

登場する。









城に引きこもり過ぎたためか、少々錯乱状態でそこには『勇者』としての姿はない。

ビキニパンツにマントマスクの姿は、









ドラクエ3で登場した容量の都合でモンスターの色ちがいにされた

主人公の父、『オルテガ』を彷彿させる。


あれ?世界の半分を手に入れたんじゃなかったの?と思った

そこのアナタ。









お城の看板には『せかいのはんぶん』とちゃーんと書かれている。

りゅうおうよ。あんたって人は、、、。



主人公は勇者の血筋をわずかにひく、もの作りが趣味の一般人で

実は魔物によって命を奪われた元『死人』であることが判明する。







『記憶がない』 『幽霊と会話できる』 『寝なくても平気』

『成長=レベルアップしない』


など改めて見ると伏線がそこかしこに散りばめてあることに気付く。

アレフガルドの創造主精霊ルビスにより、ある使命を果たすためだけに

『仮の命』を与えられた存在で、

その使命とは

『ものを作る力を取り戻し、人々が自ら村や町や武器を作れるようにして

何10年か何100年後に現れる勇者の手助けをすること』





なるほど、人にはそれぞれ与えられた役割がある。

それだけを一生懸命にこなせば世界はきっと平和になるのだろう。
 
ルビスは主人公に語りかける。


『あなたはよくやりました。あとは勇者がいつの日か、りゅうおうを倒します。

残りの人生はひっそりと暮らすとよいでしょう。そのくらいの命は残しておきます。』





役目は終わった。

たしかに自分は勇者でない。りゅうおうを一人で倒す力もない。 

魔物がはびこってはいるが身を隠せば、なんとか仮の命とはいえ生きていける。

いままで作ってきた町を捨て、出会った多くの人たちを忘れさえすれば、、、。






本当にそれでいいのか?







主人公はルビスに言う。

『俺がりゅうおうを倒す』

 

勇者?与えられた使命?それぞれの役割?

そんなもん知るか!!


ルビスは冷たく言い放つ。

『愚かな。そんなことをすればあなたは力を使い果たし死んでしまいます。

あなたは勇者ではないのですよ?』


もはや精霊の加護はない。たとえ勝てたとしても命はない。











それでも主人公は剣をとる。

いままで作ってきた町を守るため、出会った人々の笑顔を取り戻すために。











そして最終決戦を前にりゅうおうがなぜ『もの作る力を奪ったのか』が

明らかになる。

いままで滅んだ町は全て人間が作り出したものが原因であり、

それは世界全体の調和を乱す恐ろしいものだ、と。

りゅうおうは世界の調和を守るために人々からものを作る力を

奪ったのだった。

魔物が平和に暮らせる世界を築き上げようとしたのかもしれない。








お互いの存亡をかけた戦いが今、はじまる。

『ものを作る力』を駆使し、りゅうおう第1形態を撃破する主人公。










りゅうおうは真の姿をみせる。

強大な闇の力で武器、アイテム、を全て奪われ、もはや勝ち目なし、、、。


するとルビスの声が聞こえてきた。
 
『やはりあなたの力ではりゅうおうに勝てません。

いままであなたが出会った人々の力を借りて倒すのです。』











こいつ調子いいな。

少しイラっとしつつも出会った人々の祈りが主人公に力を与える。













激しい死闘の末、遂に倒れるりゅうおう。












『光の玉』を天に掲げると闇に包まれた世界に青空が戻った。

最後の力で町へ戻ると人々は主人公を讃える。

町はお祭りムード。




主人公の残り少ない命を知る姫は言った。

『勇者だから何かを成すのではなく、何かを成し遂げた者が

勇者なのですね』



運命に抗い、神に背き、それでも大切なものを守るため剣を握りしめたその時、

少年はたしかに『勇者』となった。 


またある人は『もう一人の勇者』についてこう語る。








『彼は産まれてからずっと勇者だった。勇者として何の疑問を持たず

言われるがまま人々の期待どおりにただ戦い続けた。

そんな勇者がはじめて自分で決断することを迫られた。

それがあの問いだった。

多分、世界の半分なんて彼には必要ではなく純粋な好奇心だったのでは

ないでしょうか?』





勇者だから人々を救って当然。

勇者だから命がけで魔物と戦って当然。

さぁ 戦えよ。あんた勇者なんだから。


守るべき人達がそんな感じだったら、むしろ『はい』と答えたほうが

自然だとすら思えてくる。






人生は楽しいことばかりではない。


生きていると色々と決断をしなければいけないつらい場面にもぶち当たる。


そんな時に、神や他人でなく、自らの力を信じ 

愛する人や仲間を思って剣を握りしめたなら、


あなたも立派な『勇者』だ。





おしまい


















        

※追伸 


エンドロールが流れたあと、






『ゆうべはお楽しみでしたね』

の文字が。


祭りのあと、きっと安らかに永久の眠りについた小さな勇者に

だれかが語りかけたのだろう、、、。



 
そんなセンチな気分に浸っていると、

なんと主人公は人々の祈りで復活!!








勇者でなく一大プロジェクトの現場監督として仕事に汗かいてました♪

いや〜やっぱハッピーエンドじゃなきゃね★





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